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4章 2

Auteur: 深田あり
last update Date de publication: 2026-10-17 20:09:10

「……由那。今、どうやって」

「ん。私、これくらいの隙間なら通れる。みんなは無理。関節自分で外せないと通れない」

「か、関節って……」

 そんなこと、人間に出来るのか。

 天藤由那。彼女は本当に何者なのだろう。パラレルワールドから来たと言ってきたが、どういう世界なんだそこは。俺たちの暮らす世界とは違うのは間違いないだろうが。

 困惑する俺をよそに、由那はバッグから食料と水を取り出す。いわしの缶詰を開け、フォークで突き刺しながら俺の口元に突き出す。

「さて、どこから話そう、か。あ、これ食べよ。はい、あーん」

「…………」

 俺は、口を開けなかった。

 でも、そんなこと由那が許すわけもない。

「あーん」

 ただあーんと言っただけ。ただいわしを俺に突きつけただけ。

 なのにその全く笑っていない目が想像を絶するほど怖くて、威圧感にまみれてて、体がビリビリを痺れるほどだった。

 たまらず、俺は口を開けてしまう。

「う……あ、あーん」 <
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  • ラストフィナーレをあなたと   あとがき

    はーい、深田ありの名前は深田ありと言いますこんにちはー。 ​深田ありは小説はあとがきから読み始めるタイプの人間でして、とにかくあとがきが好きでした。 となれば、自作もあとがきを書きたくなるのが人情というもの。 前の作品であるイヤホン『アコ』の恋とサトラレメイドはあとがきを書かなかったんですが、そのことにずっとモヤモヤしてて、「ええい、もう我慢できない!」と今作からあとがきを書くことにしました。 今からでもあとがき書きたいぞ……。特にサトラレメイドは参考資料とか一覧したかったし。図書館で数多の本を片手にノート取りながら時代考証のお勉強したんだもん。 まあ、今更だからやりませんけど。 ​さて、本作についてですが、深田ありはナショナルジオグラフィックという番組が好きでして、そこで何年も前に観た『月がもし無くなったら地球は地軸が乱れて全球凍結する』というのと、『地球が自転を停止したら昼が半年、夜も半年になる』というのがずっと記憶に残ってまして、それが本作を書こうと思ったきっかけになっています。 ​「時間は螺旋状に流れる」というのは、ロシアの神秘思想家であるP・D・ウスペンスキーの「時間は螺旋状に動き、次元の一つである」という説を採用。黒い渦はここから着想を得ています。 作中に出てきたアトラス彗星というのは「Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System」の略で、日本語では小惑星地球衝突最終警報システムです。地球近傍天体を広域掃天し、衝突のおそれを早期に警戒するための観測網で、これは実在するものですね。 ​本作は面木にせよ墓川にせよ由那にせよいずみにせよ、暴力によって全てを解決させようとしますが、これは「法がなければ、人間は利害を暴力で解決する」とフロイトが提唱したものが根っこになっています。 終末には法はないから、秩序とは暴力によって成し遂げられる。 しかしルソーが、ホッブスの言うところの自然状態の人間には、自己保存の本能である「自己愛」と、他人の苦痛を見て無意識に助けようとする「憐憫の情」が備わっていると説いたところからも、本作は単なる暴力で終わるようにはデザインしませんでした。

  • ラストフィナーレをあなたと   終章 4

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